抜け毛で失うのは毛髪だけじゃない

スポンサーリンク
blog

ちょっと怖いタイトルですが、これまでの接客で実際に見てきたことです。大切なご家族やご友人まで失わないよう気をつけて欲しいと思い、書きました。ご自身または周りで同じような悩みを持っている方がいるならぜひ読んでみてください

15年以上ウィッグのお仕事をさせてもらっていますが、ご来店されるお客様の中にはご家族やご友人から「病院(心療内科)に行ったら?」と言われるほど抜け毛に悩んでいる方がいます。

突然はじまった脱毛に平常心を保てないのは当たり前のこと。でも、周りの優しさまで見えなくなってしまうのはとてももったいないです。

抜け毛の辛さや苦しさを周りにぶつけ過ぎて、その人から家族や友人の心が離れてしまったケースをこれまでいくつか見ています。私もお手上げ状態だったこともあります。

ご家族やご友人はあなたのことを心配し、寄り添います。はじめは親身になって話を聞いてくれたことでしょう。

でも、みんな専門的な知識は持っていません。

「そんなこと私に言われても、、、」という思いを繰り返しさせてしまった結果、相手も心が疲れ果て、自然に離れていくのです。辛辣な言葉をあえて投げますが、辛く苦しかったはずの自分がいつの間にか「そっち側」へ行ってしまっていることに気が付かなくてはいけません。

周りで話を聞いてくれる人もいなくなり、そうなると何事も悪循環に陥ります。笑って会話していた数分後には突然泣いて怒り出し、お店を出る時にはまた満面の笑み、、、といった双極性障害(俗にいう躁うつ状態)と見られるお客様もいらっしゃいました。ここまでくるともう「抜け毛だけの問題」ではなくなります。付き添いで来られたご家族が本人に対して妙に冷ややかな態度だったのもなんとなく合点がいきました。

早めに抜け毛の専門医を受診したり、ウィッグを使ってみるなどしましょう。

もちろん、AGA専門医で処方された薬を飲んだり、大学病院でステロイド投与などの治療をしても自分が望むような結果にならないかもしれません。

Androgenetic Alopecia(アンドロゲネティックアロペシア): AGAは、男性型脱毛症または女性型脱毛症を指す医学的な用語です。これは、遺伝的な要因やホルモンの影響によって引き起こされる、頭部の特定の部位での脱毛症です。男性では頭頂部や前頭部の脱毛が進行し、女性では頭頂部が薄くなる傾向があります。現在はこのAGAに特化した専門医も増え、男性と女性が顔を合わせることなく別エリアで受診できるように配慮している病院もあります。

現在、実店舗とネット通販を合わせると購入できるウィッグの数、種類は本当にたくさんあります!それだけウィッグユーザーが多いのです。

どんなに自然で似合うウィッグを作っても、最後まで納得してもらえないことがあります。とても喜んで帰ったはずなのに、数日後に激昂してクレームの電話をよこしたり、、、。

それはウィッグの出来に怒っているのではなく「ウィッグを使っている自分」をまだまだ受け入れることが出来ないのだと見ていて感じます。そのウィッグが似合っているとか、とても自然だとかはそもそも今のその人にとって重要ではないのです。「なぜ自分だけがこんなに不幸なのか」と口にされる方もいます。

ウィッグのカット中「あなた(私)にこの気持ちがわかる?」と泣きながら問われたことがあります。こういう質問をされた場合なんと答えれば納得してもらえるのか、いまだに正解がわかりません。そばで寄り添ってくれる大切な人に毎日こんな想いをさせてはいけません。辛いけどね。

ウィッグを使うことがとても「情けない」、「恥ずかしいこと」だと悲観する方は、実は自分の周りにも同じ悩みを持っている人がたくさんいるということにまだ気がついていないだけ。

なぜAGA専門医が存在するのか、なぜ「多過ぎて何を選べば良いのかわからない」ほどたくさんの育毛剤が売られているのか・・・。今はSNSなどでたくさんのウィッグユーザーがその日常やウィッグを使用するに至った経緯などを発信しています。これで勇気づけられた方も多いはず!

ヘアサロンエンにも年間たくさんのウィッグユーザーがご来店されます。ウィッグを使う理由も年代も様々です。これまでのウィッグの接客で一番若いお客様は幼稚園児です。兄弟はみんな髪の毛があるのに、その子だけ生まれつき毛髪がありません。「こんにちは」と私が挨拶しても顔も見てくれませんでした。ウィッグカットが進むにつれ、どんどん「周りと同じ男の子」になっていく鏡の中の自分の姿をじっと見つめていたのを覚えています。カットが終わっても鏡の前から離れずに私のブラシを借りて初めての「自分の髪の毛」をずっと梳かしていました。

いろんな人がいるのです。

そして今は専門医もあり、ウィッグも低価格で高品質(昔に比べて)なものも増え、SNSでは今まさに同じような状況の人たちが「等身大の情報」を発信しています。そういった人たちに今の想いをぶつけてみると、ちょっと気持ちが軽くなるようなことがあるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました